二上り三下り 唄の唱歌に合手や
清元・夕霧 1863(文久3年)
年が明けたと思ったのも束の間、ニュースでは大学入試と言っており1月も折り返し。
時間の感覚というのは不思議なものですね。
さて前々回のタネノオトに引き続き、上方和事の名作『吉田屋』から今回の一節です。
あらすじはこちらからご確認ください〜
無事に店へは入れたボン伊左衛門ですが、あいにく夕霧は違う部屋で接客中。
襖を隔てて聞こえてくる三味線と唄の音に、かつての自分の姿を重ねて憂う場面がこちら。
会いたい!と思えば二上りみたいに気分はアゲアゲ!
でも違う部屋からは楽しげな様子が聞こえてきて気分サゲサゲ…まるで三下り。
唄に合わせてフンフン口ずさんでみてるけど全然落ち着かない( ; ; )
といったところ。
会いたいんだけど違う接客で盛り上がる夕霧が気になって仕方なく気分は上がったり、下がったり。
ボン伊左衛門完全に拗らせている…耐性なさすぎで躁鬱なんじゃないかと心配になります。
さておき。
二上り 三下り 唱歌 合手
と、今回のタネノオトは三味線音楽用語オンパレード。
◾︎二上り・三下り
三味線の調弦の種類で、二上りは明るい曲調、三下りは寂れた曲調に用いられることが多い調子。
◾︎唱歌(しょうが)
楽器の音やメロディーを言葉に置き換えた音の譜面のこと。
例えば三味線なら「チントンシャン」鼓なら「タ、ポン」など。
◾︎合手(あいのて)
唄と唄の間にある短い三味線のフレーズのこと。
ちなみにこのフレーズが長くなり、まとまった長さ・形になると合方(あいかた)と呼称が変わる。
こうした事を少し知って聞くと楽しさが増すと思うのですが、私だけかな?
捻りの効いた掛詞を発見した時のニヤけ方は見せられません笑
『吉田屋』は歌詞からみても本当に名作だと感嘆します。
さて1月も折り返し〜と冒頭書きましたが、旧暦だとまだ師走もはじめ。
心配事の絶えない世の中ですが一歩一歩参りましょう。
生きてりゃどうにかなるから!
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