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タネノオト #034

目にも綾ある 小袖の主の

長唄・花見踊 1878(明治11)



「元禄花見踊」という場合もあります。元禄時代ではなく明治時代、新富座開場式の余興に演ぜられた舞踊曲です。平成時代に「大正ロマン」、令和時代に「昭和レトロ」と言ってみたりするように文明開化の音もだいぶ響き渡った頃に「江戸時代って、元禄ってこんな感じかしら」と思いを馳せた結果なのだと思っています。奏法的に斬新なものもあり、改めて聴いてみると「元禄じゃなくてやっぱりこれ明治だよね」となんとなく気づきます。むしろ「昭和の時代劇映画」のイメージも強く、近年では和風コントやCMソングとして知られます。最近、一部で話題になっている「日本人がとらえる和のイメージ問題」の150年先を走っていたともいえます。

お若い方にこの曲を説明するとき、一言で「上野コスプレ祭」と言っています。江戸時代から非日常(職業外)の拵えをして公園に集まって花見をする風俗があったそうで、集まるなら上野の山、時期は満開の桜の頃、そしてみんなでとりあえず踊ろう!ということで盛り上がっていたというのがこの曲を聴くと分かります。

ブルーシートがない今年こそ、上野の山へ小袖でGO!






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