匂うらん 幾代の春や
清元・梅の春 1827(文政10)
匂う、春と言って思い浮かべる花と言ったら何でしょう?
日本では万葉の時代から「梅」が定番のようです。
梅は鶯とセットにされ、春の訪れを告げるアイコンとして長らく愛されてきました。
…と、今思い浮かべている緑色の鳥は“メジロ”の可能性があるので要注意。
さて、梅が食用でなく鑑賞用として定着したのは奈良時代の頃だそうで、最初は白梅だったとか。
確かに郊外の畑の脇で見かける野性味あふれた梅は白い種類が多い気もします。
雪解けてポッと顔を出す白いモノが雪でなく花となれば、越冬した喜びはひとしおだったことでしょう。
ところで正月の度にモヤモヤするのは、春の捉え方。
「初春」と年始の挨拶で見かける1月ですが感覚的にはまだ冬なのでは?と思うのです。
多くの人は、春と言ったら立春なんてとうに過ぎた3月4月頃ではないでしょうか。
こうした新旧の暦のねじれは言葉の意味さえも不確かにすると個人的には思います。
そして春、花とくれば現代の人が思い浮かべるのはあの花。
そう。
梅でもなく、桃でもなく、桜でしょう。
その気持ちもわからなくもないのですが。
今日のタネノオトは万葉びとに思いを馳せての一節です。
どんなに時代が変わっても、春の匂いと言ったら梅を愛でる世であって欲しいな。
ふくよかな香りが匂うことだ
どれほどの時代となっても、春には梅の香りが。
一体、鶯餅の色はどこからきたのか謎です。
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