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タネノオト #076

八十瀬川 水にうつれる面影を 見るより子獅子は勇み立ち


長唄・正次郎連獅子 1872(明治5)






連獅子は二種類あります


正次郎連獅子と勝三郎連獅子 略してショウレンとカツレン

(略すと曲に対して失礼だ!とお怒りになられる先生もおられる)


三世正次郎さんは二世勝三郎さんより7つ上ですが、二人は仲良し。勝三郎連獅子が作られた2年前、芳村伊三郎さんと勝三郎さんがトラブった時には正次郎さんが仲裁に入り、仲直りソングであり広告系長唄(浴衣の販促)でもある「菖蒲浴衣」を二人で作ったこともありました。


連獅子の作曲年は 勝三郎連獅子1861 正次郎連獅子 1872 基本的に歌舞伎・舞踊で連獅子と言えば正次郎連獅子が9割以上、演奏で連獅子といえば8割以上が勝三郎です(勝手憶測※イレギュラーもある)。歌詞はほぼ同じですが、正次郎の方は追加部分があり今回取り上げている箇所になります。

正次郎連獅子では親獅子が子獅子を谷底に突き落とした後に、どうしたのかな・・大丈夫かなぁ・・(突き落としておきながら)心配して谷底を覗くと瀬の多くある川があり、川面に映る親獅子の姿、しんみり・・・その時!子獅子が立ち上がった!!ガオ〜〜ーっ


連獅子といえば紅白の毛を振る、歌舞伎舞踊を代表する作品。

テレビでも放送される機会が多く、長唄を習う方ならいつかは・・・と目標にする曲です。

ですが、、お稽古でするのは大抵「勝三郎」の方からなのでマスターしても、、あれ・・・舞踊のとちょっと違う、、そこで2タイプあることを知りショックを受けるのでした←昔の私(ちなみに船弁慶も2タイプある)というわけで、市販の譜面も二種あるので購入時にはお気をつけください。(多分、その時点で店員さんが「勝三郎でしょ!」的な圧をかけてくることもある)(逆に在庫の多い方、正次郎を渡されたケースもある)

やっと手にした「正次郎連獅子」譜本、しかし踊りの場合は、演奏箇所がてれこになります(以下例)


 夫れ牡丹は百花の王にして、獅子は百獣の長とかや、桃李に勝る牡丹花の今を盛りに咲き満ちて、虎豹に劣らぬ連獅子の戯れ遊ぶ石の橋 (ここまで省略することもある)

【楽の合方】

 そもそもこれは尊くも、文殊菩薩のおわします、その名も高き清涼山、峨々たる巌に渡せるは人の工にあらずして、おのれとここにあらわれし、神変不思議の石橋は、雨後に映ずる虹に似て、虚空を渡るが如くなり  峰を仰げば千丈の、雲より落つる滝の糸、谷を望めば千尋なる、底はいずくと白波や、巌に眠る荒獅子の、猛き心も牡丹花の、露を慕うて舞い遊ぶ

 かかる嶮岨の巌頭より強臆ためす親獅子の、恵みも深き谷間へ蹴落とす子獅子はころころころ落つると見えしが、身を翻し爪を蹴立てて駈け登るをまた突き落とし突き落とされ爪の立てども嵐吹く【合方】木陰にしばし休らいぬ

 【合方】登り得ざるは臆せしか、あら育てつる甲斐なやと、望む谷間は雲霧に、それとも分かぬ八十瀬川、水に映れる面影を、見るより子獅子は勇み立ち、翼なけれど飛び上がり、

数丈の岩を難なくも、駆け上がりたる勢いは、目覚ましくもまた勇ましし

(胡蝶に心やはらぎて 花に顕れ葉に隠れ 追ひつ追はれつ余念なく)

 【胡蝶の合方】風に散り行く花びらのひらり、ひらりひらひら翼を追うてともに狂うぞ面白き【合方・引っ込み】

 宗論(宗教論争)=お着替え変身中 

【狂い合方】獅子団乱旋の舞楽のみきん、獅子団乱旋の舞楽のみきん、牡丹の英匂い満ち満ち、大巾利巾の獅子頭、打てや囃せや牡丹芳牡丹芳、黄金の蕊現れて、花に戯れ、枝に臥し転び、実にも上なき獅子王の勢い

【髪洗い合方】獅子の座にこそ直りけれ【楽の合方】



赤い文化譜、深緑の青柳譜とも、

【引っ込みの合方】鏡獅子(上) ※文化譜は合本

【髪洗い合方】は鏡獅子(下)

の譜面を参照ください




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