タネノオト #011
見交わす月の顔と顔 「や、十六夜じゃないか」
清元・十六夜1859(安政6)
昨夜は十三夜。中秋の名月と併せて見るのがよいとされる縁起物ですが、巨大台風19号のお蔭で波乱の週末を迎えることとなりました日本列島。
いずれ様もどうぞお気をつけて。命より大切な物はないと思っている延美雪です。
さて今回ご紹介するのは『十六夜清心』より一節。
大磯の遊女 十六夜と所化の清心が二人がばったり再会するシーン。
ふっと吹き晴れた雨雲によって現れた月の光で互いの顔が分かる、だなんて!
ドラマチックな設定ですね。
月に照らされ初めて気が付く互いの顔。それに続き、慌てる清心のセリフです。
「や、十六夜じゃないか」これ、清心は全く喜んでいない…泣
引き換え、無邪気な十六夜「清心様か、あぁ逢いたかったわいな」と続きます。
今なら割とどこでも街灯に照らされ、ずいぶん遠い距離からでも相手が分かってしまいそうですね(そして清心はそそくさと逃げそう)いつの世も男心と女心は交差するもの?
さておき、いつもあると思っているもの。
例えば普遍的なものですとお月さまとか、近代なら電気や飲料水。
常に、ではなく今あることに感謝しながら自宅でお籠りの一日を過ごすことにいたします。皆さまのご無事を祈って。明晩の満月は見られるかしら。