タネノオト #035
野道畦道 ゆらりゆらり軽い
清元・吉野山 1808(文化5)
『吉野山』と言うより『道行初音旅』とか『義経千本桜』と言うと場面が思い浮かぶかもしれません。
恋人の源義経とはぐれてしまった静御前は、桜の咲き誇る吉野山にてウロウロ。
そこにお供を命じられている源九郎忠信が追っかけて参ります。
「野道や畦道をゆらり〜っと軽い足取り」で間も無く静に追いつくシーンが今回の一節。
どこかへ消えてしまったと思っても、静御前の持つ鼓が鳴るとどこからともなく姿を表す忠信。
さすがは狐とミックスな漢(おとこ)!!
いつもは義経と静御前を守らんがために超頼りになる忠信ですが、
時折見せる「狐」の部分がまた怪しげで可愛らしいキャラクターでもあります。
清元作品の登場人物 男性ランキングで私としては堂々のNo.1
何でも明け透けよりミステリアスな人は素敵なものですね。
さて、3月国立劇場で上演予定だった『義経千本桜』ですが、
ご自宅で過ごす時間が増えている今、歌詞を眺めて舞台を想像するなんていかがでしょう。
リズムのいい歌詞を音読するのも演目の味わい方の一つです。
野道も畦道も川も、真っ直ぐでなく先が見えないから面白いのだと思います。
それぞれの新しいお花見や観賞をクリエイトしていけたらいいな。