タネノオト #043
- 清元 延美雪
- 2020年5月29日
- 読了時間: 2分
タネノオト #043
卯の花の雪で兎を作るなら 目にもほど良き
清元・卯の花 1831(天保2)
最初に超絶お詫びを。
私1週間、時が止まっていましたーーー。
そろそろ書かなきゃと思ったら先週が投稿日でした。面目ない。
五月晴れと言うか夏日和な晴れ間続きの東京ですが、皆さま変わらずお元気にお過ごしですか。
大変に不思議な感覚なのですが、こうした状況になってから1週間、1ヶ月が以前より長く感じています。桜が咲いていた頃が既に遠い記憶・・
さて、今回ご紹介する「卯の花」は歳旦浄瑠璃と呼ばれるご祝儀ものです。
歳旦の名の通り、卯年(1831)のお正月に発表されたと伝わる曲です。
お正月で卯の花・・・?
そう、卯の花は空木(卯木とも)のことで、これ、実はちょうど5月頃に白い花をつける植物なんですね。この5月実家にウツギがあることを知りました笑

作詞は一説には瀬川如皐ではないかとされる『卯の花』は、歌詞がとにかく素晴らしい。
卯年のお正月に発表するのに、冒頭で夏の季語「卯の花」を持ってくるあたり。
意表を突いていますよね。
そしてウツギは散ると雪のように地面を白く覆います。

これを踏まえて今回の歌詞をもう一度。
卯の花の 雪で兎を作るなら
花びらを集める姿が想像できますね。そして、
目にもほど良き
花落ちの」と続きます。くぅ〜!!洒落てる。
作詞者が「卯の花」の生態をきちんと理解していることがわかりますね。
先人の教養高さには頭の下がる思いです。
冬に夏を思い浮かべるなら、この夏に冬の演目で涼を取るのも良さそうです。
だって、きっとあっという間にお正月がやってきますよ。
そして梅雨入り前に十分気をつけながら散策や少し遠出も良い季節ですね。
卯の花や 暗き柳の および腰 松尾芭蕉

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