タネノオト #045
- 清元 延美雪
- 2020年6月13日
- 読了時間: 2分
タネノオト #045
洩れぬ誓いや網の目に
清元・三社祭 1832(天保3)
ここ数ヶ月、定期的に2020年全国のお祭日程を調べていました。
劇場と同じように多くの方がどうしても集まる性質を持つお祭は、なかなか実施が難しいのでしょう。つい大きな声が出てしまいますものね。
開催未定から中止のお知らせに変わる表示を次々に見るのは辛いものがあります。
今日のタネノオトも、コロナの煽りを受けた江戸の祭礼よりご紹介。
少しでも祭ロスの気持ちを供養できたら幸いです(涙)
祭は賑わいとしての楽しさに留まらず、その起源を調べると土地の背景や気風なんかを知ることができ味わいが増すものですが、浅草で毎年5月に行われる三社祭も、隅田川下流(宮戸川)で漁をしていた網に観音像がかかったことに端を発します。

葛飾北斎 「宮戸川長縄」漁業の町だったのが垣間見えますね。
そして曲の冒頭が、コレ。
佃という川の流れ(より正確に言うと隅田川)を模した三味線の手に乗った語り出し。
冒頭と書きましたが、実は現在は省略されることの多い「置浄瑠璃」がこの前にあります。
〽︎弥生なかばの花の雲 鐘は上野か浅草の 利生は深き宮戸川 誓いの網のいにしえや 三社祭の氏子中
洩れぬ誓いや 網の目に…
グッと景色の解像度が深まったでしょうか?
歌詞から深いところで土地に根付いていることが感じられますね。
ところで、弥生って3月ですが、かつて三社祭は3月17・18日の隔年で行われていたそうで。
今様にするならば〽︎皐月なかばの花の雲〜♪かな。
2020年の三社祭は令和2年10月16〜18日の秋へ延期だそうです。
こちらも芸能と同様に、お祭も昨今は娯楽要素の強いイベントの側面を持ちますが、元の執り行う意味を考え直す機会を得そうです。
平和な日常とは実にありがたいものです。
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