タネノオト #047
- 清元 延美雪
- 2020年6月27日
- 読了時間: 2分
タネノオト #047
そりゃこそ雷 落ちてピッシャリ肝冷やす
清元・大津絵船頭 1826(文政9)
じっとり汗をかくような夏空がにわかに薄暗くなって突然の雷雨。
ま、最近のゲリラ豪雨は風情のある降り方じゃないですね。
今年もそんな時期が近づいて参りましたでしょう。
今回のタネノオトはこれからの季節にぴったりな一節です。
単に『船頭』と呼ぶこともある『大津絵船頭』は、その名の通り滋賀県は大津の土産として有名な「大津絵」を題材とした舞踊作品で、元々5作品が集められたオムニバス(五変化舞踊)でした。

藤の精が主人公の長唄『藤娘』はご存知の方も多いかもしれません。
その藤娘も大津絵のひとつ(画像中央)
今はそれぞれの演目を独立させて上演することが多いですね。
さて曲は主人公の船頭が俄雨が降りそうだな〜と空を眺めるシーンで始まります。
そうすると降るんだわ、確実に。
なんでしょうね、あの雨の降る前の匂いといいますか空気の変わる感じは。
そこで今日の一節。
そりゃこそ雷落ちてピッシャリ肝冷やす
突然雷が落ちるもんだから、あー驚いた。
って所です。現代語訳ほぼ不要かな。
この後に続く雨の描写が凄くて個人的には大好きなのですが、それはまたの機会に。
ところで大津絵でなぜ船頭なのか?
曲の主人公は船頭だけれど、題材になっているのは雷を落とした雷様の方なんです。
「雷公」肝心の太鼓をうっかり落とし錨で吊り上げようとする雷さま。
え、そういうキャラ設定なの?雷さまって。可愛いな♡

大津絵といいながら江戸のいなせな船頭を進行役に仕立てた妙が、この作品の清元らしさだと思います。
梅雨が空けたらすぐ夏ですね。
自然災害に、暑さに、コロナに色々と気をつけてお過ごしください。
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