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タネノオト #049

更新日:2020年7月29日

タネノオト #049

口説つはさらさらさらりと 箒星にて掃き出だし

清元・流星 1859(安政6)


今年のお正月、2020年がこうした事態になるとは予測できなかったのと同じように

先々週、コラムを書いていた時には豪雨災害など思いもよりませんでした。

九州をはじめ多くの地域で被災された方々へお見舞い申し上げます。 隔週で書いているタネノオトですが、本当に未来は不確定な物だと思います。 さて、今年は全国的に大荒れとなった七夕。

牽牛と織女は会えなかったのか?毎年ニンゲンが夜空を見上げるものだから分厚い雲で隠れたのか?真相は不明ながら、年中行事っていつの世も楽しみですね。 今回のタネノオトは七夕を舞台にした『流星』より一節です。

と、その前にこの曲の書かれた時代背景を少し。


『流星』発表の2年前、1857年(安政5)は安政コロリと呼ばれた疫病コレラが大流行。

更にその前1855(安政2)には大地震、翌1856(安政3)には巨大台風と日本は災害続きでした。

3年振りの逢瀬を楽しんで牽牛・織女の元へ、流星が雷夫婦の痴話喧嘩を報告しに来ると言ったコミカルな舞踊ですが、1859年にこの演目が書かれたことは大きな意味と希望が込められていたと思います。


ご紹介する一節は、身勝手に報告をし終えた流星が空の彼方へ帰っていくシーン。

恋のお喋りはサラサラと流れ星の箒で掃いてしまえ〜

と言ったところ。


調べてみたら流星と箒星(彗星)は科学的には別物のようで、どちらも尾を引いて光る点は同じですが流星は宇宙の塵で燃え尽きてしまい彗星は太陽系の小天体だそう。

そうか、登場する人物は「流星」という名の小天体だったのか!

…ってことは再び恋の邪魔をするかもしれないですね。牽牛要注意だぞ。


疫病記録「安政コロリ流行記」 にご興味がある方はこちらを是非。

そして疫病は文久2年(1862)にも再流行しています。

現代の我々も歴史から学び、拡大防止に努めたいものです。

今年の夏の星は感慨深く眺めることになりそうです。


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