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タネノオト #055

タネノオト #055

静かに忍ぶ旅立ち

清元・吉野山 1808(文化5)


気がつけば8月も残り数えるところとなりました。

時の経つのって本当に早いもので、たった数週間前の歌舞伎座再開!と沸いた日々さえ懐かしく思い出されます。

今回は今月清元のタネノオトが最後なこともあり『吉野山』で締めます。

お芝居も26日までとカウントダウンですし。


ちょっと話がそれますが先日、超歌舞伎「夏祭版 今昔饗宴千本桜」をオンラインで拝見したんです。

初音ミクちゃんの可愛さ、AIに間を合わせる役者さんの新しい技、女性演者の可能性…色々と新鮮な発見をする中で驚いたのは忠信の圧倒的人気。

しかも演出上、忠信が3人も出てくるので盛り上がる盛り上がる。

超歌舞伎から古典「義経千本桜」の周知度が上がるだろうと、そして忠信見たさに歌舞伎へ足を運び古典に親しまれる新たな顧客層がうまれるのでは?なんて思ったりした次第です。

なんせ観客動員数235,000人。

オフラインでは出来ない圧倒的マンパワー。ビバインターネット\(^o^)/


閑話休題。

〽︎静かに忍ぶ旅立ち
静御前に静かに忍び寄る姿とは一体?!旅立ちの始まり〜

現代語訳するとサスペンスの見出しみたいになってしまいました笑

これは幕開き直ぐの「置き浄瑠璃」からの一節です。

通称オキと呼びますが、オキの役割はこれから始まる物語の大筋を語ること。


ここでの静かに忍ぶのは、静御前に静かに忍びよる忠信という訳です。

そして静御前の出と舞台上は続きます。

ちなみに「置き浄瑠璃」に対して登場人物の出る音楽は「出端(では)」という。


え、待って。超オシャレな表現じゃない?

多くの公演の場合、時間の都合でカットされたり短く編集して演奏されるオキですが、良いのにな〜。オキの歌詞って。

物語の先を想像させる高揚感。

ここだけでも聴き取れるようになると、その後の展開がワクワクできると思っています。


静御前に忍んでいたのは半分狐の忠信だったわけですが、まだまだ暑い日々が続くなか秋は静かに背後へ忍んでいるのかもしれませんね。

それはそうと過去のタネノオトでも吉野山をご紹介しています。

舞伎座再開祝いには「ツワモノッ!!!」と合戦の場から一節を

グッと前には忠信の出の部分から一節を。

併せて読んでいただけたら、幸い幸い〜。

「義経千本桜」桜斎房種

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