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執筆者の写真清元 延美雪

タネノオト#071

タネノオト #071

流れ渡りの隅田堤

清元・お染 1825(文政8)


GoGoタイムトラベルの吉原コース・隅田川コースを振り返って思うことは、日本の観光の行方とでも言いますか。特に東京観光について余韻に浸りながらぼんやりと考えています。

各地の観光ガイドブックはインバウンドに後押しされたこともあり続々と出版されてきましたが、眺めてみるとある空間に佇むだけの観光地って東京は少ない気がします。


どこどこへ行って○○をする、○○を食べる、○○を観る。

ま、消費を促す必要があるので意図はわかるんですけど。

「どこどこへ行って」の部分が目的になることがポンポン出てこない。

一方、日本を代表する観光地京都府だと、どこどこへ行っての目的化が成立している気がするんですよね。

今回のワークショップでは三味線体験講座が主旨ではないため、参加者の主体性や想像力の喚起を促す要素として街歩きをどうしても組み合わせたかったのですが、「道」を歩くことで「東京のどこどこへ行って」にも可能性の光が見えたように思います。


いつの世も人は道を辿って移動してきたように、変わらない景色から今回のタネノオト。

『お染』の演目内容はタネノオト#029をご参照のほど。

今回の一節は主人公の二人を盛り上げる3人目の登場人物、猿曳が出てくる部分。

心中しようと思い詰める二人を前に、空気を全く読まずに万歳を披露する猿曳です。


季節は春(旧暦のね)土手に咲く菜種に蝶が舞う道を猿を曳連れ登場、

流れ渡ってきた隅田川の土手堤

今回ほぼ直訳ですw


猿曳は猿引、猿牽とも書き、別名を猿まわし、猿飼、猿屋などと言われた大道芸人ですが、狂言を元にした長唄『靭猿』も有名かな。

猿は古代より馬の守り神のため、正月には祝言に厩を訪れたそうです。

今年も残りわずかとなって参りました。

来年は丑年だけど初春に三囲神社辺りを歩いて次コースを練ろうかな。


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