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タネノオト #053

タネノオト #053

新枕 初手から蓮のうてなぞと

清元・かさね 1823(文政6)


立秋迎えたてホヤホヤの8月8日、皆さんお元気ですか。

「そうかぁ、もう残暑お見舞いか」と思いつつ、残る暑さってより先日梅雨明けして暑さ始まったばかりじゃない?と思う暦と体感のズレ。

前回タネノオトでも話題になっていたけれど季節感って現代になって難しいものになりましたね。世界中異常気象続きですし。


そこで悩みに悩んだ結果、歌舞伎座再開SummerFesと称して!!

今回のタネノオトは『かさね』にしました。

ちなみに前回は八月花形歌舞伎より『吉野山』の一節でした。

コロナ禍の中、手探りで再開された歌舞伎興行も九月が発表されましたね。

まさかの清元の演目連続。

『かさね』は以前にも取り上げた通り、怪談話を元にした舞踊です。

美しさとおぞましさ、乖離した描写がこの演目の何よりの魅力だと思います。

今回は美しい前半部分より、かさねと与右衛門が出会った頃を物語る一節。

新枕の初手から「蓮のうてな」とは仲睦まじさ(かさねの思い込みだろうけど)が伺える歌詞ですね。

※蓮の台…極楽浄土へ行った夫婦は蓮座に2人一緒に座り仲睦まじく離れられない因果の意

初めての夜を迎えた最初から
蓮の台のように私達って離れられない運命と思っていたの

お、重いよ・・かさね。

直前の歌詞に拠れば2人が出会ったのは初秋盂蘭盆だそうで。

歌詞へ散りばめられた仏教用語が後半へ続く破滅の暗示に思えてなりません(涙)

上野の蓮も見事に咲いている頃だろうな。

何だか湿っぽくなりましたが8月8日は旧暦だと、なんと6月19日。

まだ夏は始まったばかりです。

皆さま、それぞれの良き夏をお過ごしください。

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